コリア国際研究所
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金大中氏の詭弁行脚

2005.5
コリア国際研究所所長 朴斗鎮

金正日政権に対する「不思議な」思い入れ 
「南北共同宣言」が平和をもたらしたか

 金大中韓国前大統領は、4月の米国訪問に続き日本を訪れ、23日には東京大学の安田講堂で講演を行った。金正日政権が危機に陥るたびに動き出し、得意の「詭弁」でそれを援護するのが彼の政治行動パターンであるが、今回もその行動の一環と思われる。

「南北共同宣言」は野合の文書

彼のこうした行動の背景には何があるのだろうか。彼がノーベル平和賞をもらった時、自分だけがもらって「金正日総書記に申し訳ない」と語ったあの「負い目」がそうさせているのだろうか。しかしそれだけではない。
彼の金正日政権に対する「不思議な」思い入れは、北政権を延命させることで権力維持を図ろうとするところにある。
歴代の韓国大統領の中では飛びぬけた「狡猾性」と「野心」を持つ金大中氏は、韓国内の政治基盤だけでは権力維持が難しいと考え、金政権と野合する道に足を踏み入れた。そして彼は「親北左翼急進勢力」を復活させ、その勢力での長期政権化を狙ったのである。
それは国会での承認も得ず、憲法違反の疑いさえある2000年6月の「南北共同宣言」で実を結んだ。彼は、この「文書」を手に入れるため、5億ドルとも10億ドルとも言われる莫大な資金と援助物資を、国民の了解もなく金正日総書記の手に渡した。この宣言が、金政権との野合に目的があったことは、金まみれだったことだけでなく金総書記のソウル訪問が今もなお履行されていない事からも明らかだ。
韓国国民は、空手形と引き換えに金品をむしり取られ、その資金で開発に拍車がかかった核兵器で脅しつづけられている。こうした宣言が金前大統領のノーベル平和賞受賞の内容となっているのだからやりきれない。
こうしてみると韓国の安全保障と平和基盤をぐらつかせたのは、金大中前大統領その人ともいえるのであるが、なぜかしら彼は「平和と民主主義」の「第一人者」のごとく振舞っている。

「南北共同宣言」を美化する金大中氏

金大中前大統領の「詭弁」はまず、「南北共同宣言」が平和をもたらしたかのごとく主張するところから始まる。
彼は、いつも「金正日政権は核を放棄すべきだ。だが米国も譲歩すべきだ」といった調子で「持論」を展開する。こうした論法では、本音が「米国は譲歩すべきだ」にあることは自明のことだ。そしてことあるごとに「北に対する援助」は平和の代価として考えればやすいものだと主張し、金正日政権に「援助」を与えなければ明日にでも戦争が勃発するかのように主張するのだ。
しかしこれはおかしな話だ。朝鮮半島の平和は、韓米同盟によって朝鮮戦争以降一貫して保たれている。金大中政権になって平和が訪れた訳ではない。むしろ金大中政権以降、北朝鮮の核の脅威が増大し、その路線が盧武鉉政権に継承されることによって韓米同盟に亀裂が入り、朝鮮半島の平和と東アジアの平和が脅かされている。
金大中氏のこうした「詭弁」は、在日の政治学者姜尚中氏にまで伝染した。彼は、今年のある新年対談(東洋経済日報)で「(南北)首脳会談を金で買ったとの批判があったが、平和なき正義より正義なき平和のほうがいい。金で買える平和ならそれでもいいのではないか」といびつな「平和論」を展開し、金大中氏の詭弁を擁護している。
戦争に対する人々の恐怖を「人質」に取るこうした似非「平和論者」が、むしろ戦争を呼び込むということはミユヘンでヒトラーと交渉した英国首相チェンバレンの失敗で十分に証明されている。

北体制擁護で歴史まで歪曲
金正日美化でも巧妙な詭弁

金大中氏は、5月23日東京大学の安田講堂で講演を行ない次のように述べた。
「北朝鮮に対して公正な対価を与えたのに、北朝鮮が約束を破った時は(中略)強力な対策を講じることができる」。
これは、金正日政権がこれまで約束を守ってきたかのごとき主張だ。しかし北朝鮮は1991年の「南北非核化」宣言や1994年の「朝・米ジューネーブ協定」に違反し、表で補償を受け取りながら裏では核開発を続けてきた。金大中氏は金正日政権をかばうため厳然たる歴史的事実までも捻じ曲げようとしている。

歴史歪曲にまで及ぶ「詭弁」

金大中氏は4月の米国訪問時、中国とベトナム、キューバなどの例をあげて、米国はこれらの国に封鎖と戦争を行ったが、人権改善はできなかったとしながら 「共産主義国家に対して、圧力では大きい成果を得ることができない」と主張した。
中国と北朝鮮の人権を同一水準で見ること自体ナンセンスだが、より危険なのは「第二次大戦以後、共産圏の民主化や人権問題が、外部の圧力では大きな進展がなかった」とする歴史歪曲だ。
金大中氏は、5月24日の朝日新聞とのインタビューでも、レーガン政権が、旧ソ連を「悪の帝国」と呼びながらも「対話を行った」としてブッシュ政権が「悪とも対話すべきだ」と主張した。ブッシュ政権があたかも北朝鮮との対話を拒否しているかのごとき言い回しだ。しかし六カ国協議での対話を拒否しているのはまぎれもなく北朝鮮だ。そればかりか彼は、レーガン政権がSDI(戦略防衛計画)を推進するなどしてソ連を強く圧迫し、旧ソ連を崩壊させた側面については口をつぐむ。
このように「博識」といわれる金大中氏の歴史解釈は、自己の主張と北朝鮮に都合のよいものをつなぎ合わせたものばかりだ。

金正日に対する巧妙な迎合と美化

 金大中氏が韓国大統領になった後、朝鮮戦争に対する解釈にまで歪曲の手が伸びた。
冷戦終結後、最近明らかになった資料などで1950年6月25日に勃発した「朝鮮戦争」が金日成の侵略戦争であったことは明確な歴史的事実だ。にもかかわらず彼はそれを明確にせず責任を米・ソに転嫁する金正日の「冷戦の産物論」に口裏を合わせ、金正日美化を一貫して行ってきた。「南北首脳会談」直後「金正日総書記は、頭が切れる。ユーモアがある」などと宣伝してきたことなどがそれだ。
今回の日本訪問でも、「南北会談」で話し合った「特権」を利用し、自分だけが金正日を正しく知っているかのごとく主張する。「金正日国防委員長は米国を恐れている。対米関係を改善したい。国民が飢え不正常な状態であること、米国だけが解決できることを彼自身が分かっている」(5月24日、朝日新聞とのインタビュー)
この語りは「国民が飢え不正常な状態である」ことを金国防委員長が真剣に悩んでいるかのような描写だ。しかし彼が苦心しているのは、自己の権力と金一族の安寧だ。そうでなければ300万人が餓死する最中に、どうしてあのような腐敗堕落した贅沢な生活が出来ようか。また、膨大な費用をかけ首席宮全体を金日成の墓とし、彼の死体保存に莫大な外貨を費やすことができるのか。
金大中氏はその他にも南北首脳会談直後「金国防委員長は、在韓米軍を容認している」などとの「情報」も流し、彼が米軍の撤退を主張していないかのような「誤解」も撒き散らした。
歴史まで歪曲して金正日独裁政権を擁護する人物が「民主主義の闘士」のように振舞うとはまことに笑止である。

太陽政策が北を変化させたのか
人権運動にも障害を与える詭弁

金大中前大統領は、4月の米国訪問期間、 アジア財団、サンフランシスコ大学、スタンフォード大学などで演説し、太陽政策の「成果」を自画自賛した。また5月22日からの日本訪問時にもこの「自画自賛」は続けられた。

得意の詭弁で太陽政策を自賛

彼はまず、韓国が支援した肥料と食糧の袋に「大韓民国」の マークがついていることで北朝鮮の住民が韓国の良い暮らしを知り、今では韓国のTVドラマや音楽が秘密裏に流通するようになったと主張した。5月23日の東大での講演でも「北の人々の認識が、過去の憎悪と不信から感謝と羨望に変えるのに寄与した」と強調した。しかし残念ながらこれは事実と異なる。
脱北者たちの共通した証言によれば、太陽政策絶頂期の2002年でさえ、金正日政権は 「大韓民国」 マークを取り外し、北朝鮮の袋に入れ替えて食糧を配給していた。それがそのまま流通しはじめたのは配給制度破綻で実施された2002年の「経済措置」以降だ。
北朝鮮で韓国のTV ドラマ、音楽などが秘密裡に流通していることも太陽政策とは関係がない。 
すべての音楽と映像物は韓国からではなく朝・中国境地帯を通じて流入している。経済的困窮が朝・中貿易を強化したからだ。むしろ太陽政策は、韓国政府の対北心理戦を中断させたことでこうした流れに障害さえ与えている。自らが妨害して效果をなくさせておきながら自分の成果にしてしまう彼の「詭弁」は正にプロ級だ。
彼はまた 「2000年 6月の南北首脳会談以後、離散家族再会、民間人の往来、金鋼山観光などを通じて 4000名に上る北朝鮮の人々が韓国を訪問したが、これは北朝鮮社会に韓国の現実を知らせるうえで大きな影響を与えている」と述べた。これも太陽政策の成果だそうだ。
もちろん北朝鮮高位層であれ保衛部幹部であれ、その直系家族や徹底的に教育受けた人たちであっても、韓国訪問することはよいことだ。しかし韓国で見聞きしたことを一切口に出来ない彼らが北朝鮮に及ぼした效果が大きいか、100万人に及ぶ韓国の人々が、金剛山と平壌の「 映画セット現場」を見て、北朝鮮をすべて分かったような幻想に陥る效果のどちらが大きいかをよく考えてみる必要がある。それは親北一辺倒の「韓総連」が金剛山観光を自らの教育手段に活用していることからも明らかだ。また金鋼山で莫大な外貨が落とされていることも忘れてはいけない。

北朝鮮人権法を反対する金大中氏

金大中氏の「詭弁」は北朝鮮人権問題の歪曲にまで及び、世界の人権運動に障害を与えている。
彼は 4月26日(現地時間) サンフランシスコ大学で講議し「北朝鮮人権問題を公開的に批判して是正を要求することも重要だが、実質的效果を得るためには、北朝鮮内部に影響を与えて中からの変化を持って来るようにするのが根本的で效果的な方法だと思う」と述べ、北朝鮮人権法など北朝鮮人権問題に対する米国の対応を批判した。
ここで彼が言いたいたいことは、圧力を加えず「金正日政権の人権に対する変化を待て」ということである。すなわち「北朝鮮の人権改善は、国際社会の支援と刺激が必要だが、基本的には北朝鮮の意思が最も重要と考える」ということだ。
人権擁護運動は、そもそも国家権力の迫害から身を守ることから始まったものだ。それを国家権力の変化を待って行えという彼の人権感覚は一体どこから来ているのだろうか。
「金正日」に対する彼の不思議な「思い入れ」は、人権の二重基準まで生み出す深刻な水準にまで到達している(了)。

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