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黄長Y朝鮮労働党元書記とのインタビュー
六カ国協議を展望する

2005.7.23
黄長Y元朝鮮労働党書記

北の基本戦術は引き延ばし
反日は新たな「民族共助」策

北朝鮮の核問題をめぐる第四回六か国協議は13日目の7日午前、北京の釣魚台国賓館で全体会合を開き、休会を正式に決めた。8月29日に始まる週に再開することとし、具体的な日時は後日、各国間で別途協議した上で決定することになった。
協議で北朝鮮は、「核の平和利用の権利」認定などを強く主張し、共同合意文受け入れ拒否の姿勢を変えなかったため各国は休会に入った。だが、休会が事態打開につながる保証はない。
この六カ国協議に先立ち7月23日、テレビ朝日と共同で、六カ国協議に応じた金正日国防委員長の狙いなどについて黄長Y朝鮮労働党元書記にインタビューを行った。一問一答は次の通り。

北の六カ国協議再開の狙いと戦術

Q―六カ国協議再開に応じた北朝鮮の狙いはどこにあるとお考えでしょうか?
黄―北朝鮮の独裁政権の存在価値はどこにあるのでしょう。それは軍事力強化にまい進し、核開発を行ない周辺の国々を脅かしていること、それが彼らの価値です。北朝鮮の独裁政権が核兵器をもっていること、それが六カ国協議に参加する自分の存在価値なのです。だから私は初めから核兵器の実験はするはずがない、六カ国協議には必ず参加すると言ってきました。
では何故、彼らがあたかも六カ国協議に参加しないような振りをしたのか。
それは第一に、自分の存在価値を高めるためなのです。その一方で、中国やロシアなどの国際的権威を高め、彼らを同盟国として引き付けようとしたからです。
第二に、米国を欺瞞するためです。あたかも六カ国協議に対して真剣に対応しているかのような振りをして米国を欺瞞しようとしているのです。
そして三番目に彼らの最も重要な狙であるが、韓国を引き付けて大きな援助を引き出すと共に、韓国で親北、反米的で、反日的な雰囲気を醸成しようとしていることです。あたかも韓国政府が核実験の中止と六カ国協議再開で功労があったかのような印象を米国と韓国国民に与え、韓国での親北長期政権化を狙っているのです。
そういう意味ではもっと引き延ばしていたいけれども、中国の権威も高めたし、韓国も引き付けたのでこれぐらいにして参加しよう、こうして参加して来たのです。
Q―では六カ国協議に対する北朝鮮の戦術はどのようなものとなるのですか。
黄―基本的な戦術は引き延ばしです。六カ国協議に参加して、いろいろな口実を設けて、例えば核兵器は北朝鮮だけの問題でない。朝鮮半島全体を非核化しなければならない。だから米国も核兵器を持ってはならないし、米軍は朝鮮半島から撤退しなければならない。核の平和利用は当然の権利だ。そういう口実をもうけて引き延ばし、ブッシュ政権が民主党政権と交代するまで待とうとと考えているのです。
引き延ばすということは彼らの勝利を意味します。何故かというと、この問題を提起したのは米国であり、六カ国協議も核兵器問題も、これを引き延ばせば、引き延ばすほど、米国の政策が間違っていることを証明でき、るからです。
Q引き延ばしによって、中国、韓国など周辺国に有益な点は?
黄―中国の根本的な利益は高度成長をなるべく長期間続けることです。そのためには米国との協力は必要です。だから中国にとっても引き延ばすほど良いのです。
また韓国にとっても引き延ばしが利益になるのです。政権基盤が北朝鮮を怖がっている階層と、彼らの影響のもとに動いている人たちにあるので、長期政権を維持するためには、引き延ばせば引き延ばすほど利益に合うと考えています。北朝鮮は引き伸ばしでなるべく韓国からたくさんの援助をもらい、韓国で親北、反米、反日の雰囲気を高めようとしているのです。

北の核放棄はあり得るのか

Q―韓国政府は、北朝鮮が核放棄すれば200万キロW/Hの電力を供給すると提案しましたがその実現性はあるでしょうか
黄―電力の供給は受けるかも知れません。彼らは積極的にもらおうとしているから。しかし、それと引き換えに核兵器を放棄することはあり得ないことです。
Q―北朝鮮はどのような条件が整えば核放棄を放棄するのですか?
黄―先ほども申し上げたように、核兵器を放棄するということは、完全に彼らが勝利したと考える時、つまり米軍が撤退し、米国と韓国が同盟関係を絶つようになり、完全に彼らの勝利の条件が保証されたら放棄するでしょう。金正日の根本的な目的は全民族の首領になることですから。
Q日本の専門家などは核放棄しないのは軍部が反対するからと説明していますが?
黄―人はみな自分の考えをもっているから、なんとも言えませんが、金正日は独裁政治家としては卓越した手腕をもっています。独裁というのは暴力に依拠した政権だから、暴力を、つまり軍事力を生命線だと考えています。その暴力、軍事力を誰かに任せるでしょうか。絶対に他人に任せないです。だから、軍部には無条件服従する人たちを配置しています。比喩的に言うと軍部は頭がないのです。実際に軍事作戦を取り扱っている人たちは頭があるけれども、その上に配置されている人たちには頭がありません。
外務省で何か困難な問題があれば、軍部が反対すると言えというのです。それをここ(韓国)の人たちは自分式に考えて、軍部の反対がどうのと推測しています。
Q―北朝鮮の今の政治体制では軍部が反対しているからというのはありえないわけですね。
黄―それは絶対にありえないです。たとえばどこかで一つの挑発事件を起こすにおいても、それは絶対にありえない。何かのパーティーで金正日が「このごろ軍事境界線があまりにも静かで面白くない。少し騒がせなければならない」と言えば、軍部は相談して、挑発の提案書を出すのです。金正日がそれにサインすれば挑発を実行します。

韓国の融和政策は何を狙っているのか

Q―最近、韓国の北朝鮮に対する融和政策に一層拍車がかかっています。韓国政権の狙いはなんだと思いますか。
黄―ここの政治家の立場から言えば、長い間南北が対立してきたことによる倦怠感があるのではないかと思います。
裕福になるにつれて戦争が怖くなったことや、それに北朝鮮の対南工作が長い間蓄積されてその支持者たちが増えてきたこと、そういったことが結びついて、政治家がその勢力を利用しようとしているのではないのでしょうか。そうした勢力を権力維持に利用するために、北朝鮮との関係を一層緩和して平和をもたらしたという印象を与えようとしていると思うのです。
もう一つは、米国が冷戦の終結によって、あたかも最終的な勝利を勝ち取ったように勝利に酔ったこと。独裁勢力を過小評価し融和政策に転換したこと。それに力を得た人たちが、融和的政権を支持するようになったということなどが結びついて、融和政策が政権の維持に有利だと考えているのではないのでしょうか。北の対南工作だけではないと思います。
Q―北朝鮮の対南工作について、もう少し詳しくお話願えませんか。
黄―大雑把に言えば、二つです。一つは軍事力を背景にして韓国を脅すこと。それを通じてここに親北・反米的な思想を植え付けて、親北政権を立てるということです。そこで一定の条件が整ったら急激に連邦制に向い、米国が干渉できないようにするということ。これが彼らの基本戦略です。
そのためには、米国と日本から韓国を引き話そうとしています。
もう一つはこれまで労働者階級、軍隊を工作していたのだが、韓国の労働者の生活水準が高まることによって、それだけではだめだと言うことで、最近は学生とかインテリなどの知識層に食い込んでいます。
そしてこれまでのような大きな地下組織では秘密の保持も難しいといってその質を高め組織の縮小を図っています。その一方、北朝鮮で大々的に派遣する要員を準備しています。韓国の状況が有利になる程度に応じて徐々に送っていく、そういう戦術を取っています。
Q―北朝鮮内で養成されている要員の任務は?
黄―ここ(韓国)での地下党というのは、基本的には後ろで秘密裏に操縦することが基本です。勿論その中で一人か二人は表面で指揮しているかもしれませんが、しかし基本は後ろで操ることです。したがって韓国の親北的な性格が高まるにつれて、もっと多くの工作員を送って来るでしょう。そして各方面で実権を握れるようになれば南ベトナムで行ったように、簡単に政権を執ることができると考えているのです。
Q―彼らの任務には破壊とかテロとかの活動も入るのでしょうか
黄―それは徹底的なモメントでは、そういうことをするでしょう。それは彼らの仕事だから、しかし今のそれは、ここの地下党の、活動が許される範囲内において活動するということです。
Q.最近の中国、北朝鮮、韓国の反日の動きについて、とりわけ韓国は反米から反日に切り替わった感がありますがその点はいかがでしょうか
黄―中国の国益の一つは、米国との関係です。米国との関係をあまりに悪くすることは、彼らにとって負担です。最近、韓国と北朝鮮側の反米的なレベルがあまり高すぎた。これは中国の利益には合いません。また韓国側でもいまのところ反米的なスローガンはあまり人気が上がらなようです。そういうところから、今度は米国に反対するのではなく、日本に反対する戦術に出たのです。反米を緩和し、反日を強化して日本とアメリカを離間させる。それによって「民族共助」路線を強化して行こうとしているのです。

 
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