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黄元書記、北核と六カ国協議を語る

2005.2.19
黄長Y元朝鮮労働党書記

219日、黄長Y(ファン・ジャンヨプ)朝鮮労働党元書記は、テレビ朝日のインタビュ―に答える形で、北朝鮮核保有宣言の狙いと六カ国協議の役割について語った。

黄元書記は今回の金正日国防委員長の「核保有宣言」は彼独特の「脅し戦術」であり、新たな援助をもぎ取ることに狙いがあると語った。

そして「それは、どこかの犬が吼えていると考えればいいのに、その彼の戦術に応じて踊っている人が結構いる」としてこの脅し戦術に振り回されてはならないと指摘した。

 また六カ国協議で、中国に期待をかけすぎることはあまり意味のないことだとも指摘した。

新たな援助狙う金正日の脅し

核レベルを過小評価してはならない

Q 210日に核兵器保有宣言を行ない、六カ国協議参加無期限中断を表明した北朝鮮の狙いはどこにあるのでしょうか。

A 私も確かなことは分かりません。最近北朝鮮から来た人たちの話を聞くと、前よりも金正日に対する人民の世論が相当悪くなったということです。以前は中・朝国境の人が金正日を批判していましたが、このごろは中央でも陰口を叩く人が増えたということです。

それから、いろいろな人が反体制的な動きをしているとのことです。これを全面的に信用することはできませんが、ともかく私がこれまで聞いてきたものよりは、例えば暗殺未遂事件とかが増えているようです。私はこれまで、そういう情報を聞いた時、そういった偶然要因に期待をかけてはいけないと、原則的な闘争をするべきだと強調してきました。

しかし、北朝鮮の状況が改善されず、引き続き惨めな状態が続くので、段々と人民の不満が表面化してそのような事件が増えているように思われます。そこで金正日は自分の立場を回復する為に、彼の常套手段である脅しを使おうと、誕生日を契機にひとつ大砲を撃ってみようと、こういう考えをもったのが第一の狙いだと思います。

もうひとつは、なんといってもアメリカで第二期ブッシュ政権が登場し、国際的圧力が強化されたことと関係があると思います。ここでひとつ爆弾宣言をして強硬な態勢を世界に示し、これをもって今後の駆け引きに利用しようとしたのではないかと思います。だから少し時間が経過すれば、金正日は妥協的に出て、自分の国際的立場を回復しようと試みるでしょう。そしてより有利な条件で妥協して援助を受けようというするのではないかと推測します。

Q 今回北朝鮮が「核兵器を作った」と宣言したわけですが、いま北が持っている核のレベルはどの程度のものでしょう。

A それは推測するよりほかに方法はありません。私が北朝鮮にいた時、すでにプルトニウム爆弾は一個ではありませんでした。おそらく三個ぐらい作っていたのではないかと推測します。その時にほかの人たちは、五個ぐらいだという人もいましたが、当時の担当責任者との話(なぜ核問題を引き伸ばすのかとの私の問に、一個でもよけいに作ってから妥協しようとしていると答えた話)を思い起こすと、五個だというひとも(当時)いましたが、少なくとも二、三個は作っていたと考えています。

その後その責任者に「その爆弾は時間がたったら悪くならないか」と聞いたら「それは悪くならない、大丈夫だ」と答えました。そして「もう少し作っておいたほうがいいから、できればプルトニウムを買ってくることはできないか」と当時国際書記だった私に頼みました。

ところが、1996年の夏か秋か、はっきり覚えていませんが、軍需工場担当のその書記が―彼は恐らく20日間くらい職場を離れていました―私に「もうプルトニウムは必要でなくなった。自分がこのたびパキスタンに行ってきたので、もうすべての問題が解決した」と語りました。つまり、ウラン230を作るための(パキスタンとの)協約が完全に結ばれたから、もう心配はないと。こういうふうに私に話したのです。

こうしたことを勘案すると、今は必要以上の(核)爆弾を持っていると思います。これはどこまでも私の推測ですが。ここ(韓国)ではなにかもう、飛行機で投下する爆弾だとか、しきりに過小評価しようとする動きがありますが、彼らのミサイル製造能力は相当発展しています。

この問題でもう一つ注意しなければならないことは、北朝鮮が核兵器開発問題であたかもロシア、中国から一定の援助を受けたかのように考える人がいますが、そうではありません。はじめからロシアと中国はそれに反対しています。また、北朝鮮は核兵器開発の秘密が、ロシア、中国に漏れることを最も警戒してあらゆる措置を講じました。しかし北朝鮮は小さい国ではあるが、核兵器開発部署に秀才を集中させ、戦後(朝鮮戦争)すぐに核開発に着手しましました。だから、今では相当な技術をもっていると考えなければならないと思います。

Q 韓国政府は、核爆弾がミサイルに搭載するほどのものではないと言っており、アメリカでもそういう意見を言う人がいますが、搭載の可能性も考えなければいけませんか。

A そう騒いでいる人たちは、何かほかの外交的目的をもって言っているかもしれません。もし本当にそう考えている(核爆弾がミサイルに搭載するほどのものではない)としたら愚の骨頂です。ばかげたことだと思います。だから、それは、いちいち問題にする必要はないのではないでしょうか。

Q 北朝鮮からの核技術の移転・拡散はしているのでしょうか。

A それはよく分かりません。しかし、とにかく彼らは、外貨が不足しているのです。このことが彼らの最大の弱点です。だから、外貨獲得の為には、麻薬も販売し、手段を選ばないのです。私の知る限りでは、パキスタンとの関係でもそうですが、ミサイル輸出に伴って、濃縮ウラン爆弾製造の技術と、ミサイル技術を交換するといったことは聞いたことがあります。ただ、直接核兵器技術を売ったということは、聞いたことがありません。

Q 北朝鮮のカードはそれほど残っていないとは思いますが、国際社会が懸念する核実験に向かう可能性はありますか。

A それは全然ないと思います。なぜかというと、一九九三年頃に、さかんに核兵器の問題が取り上げられていた時、北朝鮮では核兵器とかそういうものは、すべて党中央委員会の軍事工業部が直接管理し、そして開発した後はすべて軍隊に引き渡すのですが、その軍需工業担当書記が「すでに、核爆弾の地下実験準備は完全に終わった。金正日に報告して許可するよう申し入れているのだが、許可が下りていない。なぜなのか。国際関係のため、核実験を懸念しているのだろうか」としきりに聞いていました。私が国際関係の担当書記だったので「機会があったら金正日にきいてみてくれ」ということでした。

私は後に、その担当書記に「爆弾は核実験をしなければ使うことができないのか」と聞いたのですが彼は「いや、そんなことはない。実験をしなくても十分に使える」と話していました。だから、場合によっては、それが彼らに有利だと判断された時には、核実験をするだろうと思います。だから、核実験をする・しないは核保有を判断する基準にはならないということです。

Q 一部の専門家は今回の北朝鮮の宣言は駆け引きではなく、本気の部分もあるのではないかと言っていますが。

A 私はそういう発言には興味がありません。そういう発言の背後には、何らかの目的をもった政治勢力があるのではないかと思います。

Q 六カ国協議参加国は、今さかんに外交的な動きを見せて、北朝鮮を引き戻そうとしていますが、六カ国協議の今後の展望はいかがですか。

A 私は六カ国協議に大きな期待はもっていません。もし、六ヶ国協議を通じて、中国が仲裁の役割を果たすと期待するとしたら、それは間違った考えだと私は確信しています。核問題を解決する準備として世界の世論を正しい方向に導く、そういう手段としての六カ国協議は必要だが、それ自体が何かの力をもつと、例えば中国の仲裁によってが解決すると考えたら、バカな考えだと。私は確信しています。

Q 中国がどのような考えを持っているのか非常に見えずらいのですが。

A 深く考える必要はないのではないでしょうか。中国は北朝鮮と同盟関係をもっています。そのことですべてが分かるでしょう。彼らは全面的に北朝鮮の立場を代弁しています。私はそのことを確信をもって言うことが出来ます。

ただ、北朝鮮と中国の間には立場の違いはあります。中国の根本的な利益は平和にあり、アメリカ、日本と妥協して市場経済を発展させ、高度成長を引き続き維持しようとしています。そして経済規模がアメリカを追い越すことを第一の国益と考えています。だから彼らは、金正日が戦争を起こすことには絶対反対です。この問題に対しては、彼らは露骨です。南侵の戦争には絶対に賛成することはできないと。

しかし、北侵戦争、もしくは南朝鮮(韓国)主導の統一は、とりもなおさず最終的な競争相手であるアメリカの勢力が鴨緑江まで進出することを意味するので許すことができないと考えています。だから、中国に期待をかけるのは、戦争を抑制するということではいいと思います。

金正日は、戦争を起こした瞬間、自身が滅びることを知っています。ましてや中国も反対している状況では戦争を起こせません。核兵器を使っての戦争は、万一の偶然、例えば精神病にかかってそういうことをするということはあり得ても、彼が正常な精神状態であれば心配はないと思います。心配がないのに心配させるのが金正日の戦術です。それは、どこかの犬が吼えていると考えればいいのに、その彼の戦術に応じて踊っている人が結構いるのです。

Q 中国の役割が期待できないということであれば、六カ国協議に大きな期待をもてませんが、今後の進め方はどのようにしていくべきと思われますか。

A それは外交の問題なので私がとやかく言えるものではありません。外交というのは参加している国々が、お互いに自分の利益を主張し利用する場なのです。掲げた目的が達成できるかどうかという問題と外交は別問題だと思います。アメリカはアメリカの立場でそれを目的実現に利用し、中国は、仲裁的を果たすという建前で国際的立場を高め、自己の目的を追求することもできるのです。また北朝鮮にしても、六カ国協議を通じ南朝鮮(韓国)、日本などに脅威を与えて、より多くの援助を引き出す契機として利用しようとするでしょう。だから一概に六カ国協議は必要ないとか、それは何も解決することは出来ないと言うことはいえませんが、あまり大きな期待をもってはいけません。それはそれとして国際的な環境の中でそれ相応の役割を果たすでしょう。現在の世界情勢では、問題を会談を通じて解決するのが正しいというのが流れなので、各国がそれに沿って動いていることも我々は十分に理解出来ます。だから日本は日本として自分の利益を追求したらいいと思います。

金正日政権が崩壊すれば核も拉致も解決する

後継者や難民論議は意味がない

Q 金正日政権の後継問題が今さまざまな形で取り沙汰されていますが、これについ何か情報はお持ちでしょうか。

A 私は後継者問題については、ほとんど意義を認めていません。今の北朝鮮独裁体制を築いたのは金正日です。彼はそういう面では抜群の能力を持っています。他の能力は取るに足らないのですが。したがって誰が後継者になっても今の体勢を維持することはできません。金正日でさえも維持できないのに、誰がなろうが同じです。この体制は金正日がそのポストから離れたらそれで終わりです。

また一方で、金正日政権が崩壊すれば多くの難民が押し寄せ破局的事態が発生するかのごとく騒ぐ人がいます。しかし絶対そういうことは起こりません。こういう主張はは本当に馬鹿げています。何か錯覚をしているか、でなければ故意にそういうことを伝播しているとしか思えません。カンボジアとかベトナムで難民が増えたのは、共産政権に反対している一般人民が共産主義が勝利したために難民として国を離れました。しかし北朝鮮では共産政権が倒れるんですよ。だからここから抜け出そうとする人たちは、金正日に直接忠誠を捧げた者などごくわずかな人たちです。

彼らは国境を越えることは出来ません。越える前に不満を持った大衆がすべて解決してしまいます。なぜそういうふうな考えをもつか私には到底理解できません。犯罪集団がいなくなるのに、なぜ自分の家を棄てますか。殺人行動集団がなくなれば離れていた人たちも家に帰ってくるのが正常な状態でしょう。われわれ脱北者たちも金正日政権が崩壊したら大部分の人が故郷に帰っていきますよ。なぜ故郷から離れてきますか。難民が大量に発生すると主張する人たちは政治的な自覚があまりにも低い人たちです。金正日側の宣伝に操られているとしか思得ません。

北朝鮮軍部は権限も頭もない集団

Q では軍部が暴発すると言ったような懸念は持たなくともいいのでしょうか。

A 独裁者にとっては暴力が生命です。だから金正日は軍隊を自分の生命として考えるのです。しかしまた、彼が最も警戒しているのも暴力です。軍隊を最も警戒しているのです。だから軍部を頭のない集団に作り上げています。軍部の最高指導者たちは政治的な見解を持っていないのです。彼らは無条件的に金正日を支持することでのみ自分のポストを維持しているのです。金正日は軍隊を掌握するために、軍部の長や高位幹部を抱き込むことに大きな努力を払っています。彼らが金正日に代わって政権を取るというのはありえないのです。

例えば何かの問題があるときに、金正日は指示をだします。これは軍隊が反対すると言えと、それで軍隊がそのような声明を発表したり、そういうことをするのであって、彼らは何の権限も持っていません。また金正日に代わってそういうことをしようとする人も存在しません。

Q ではどのような形であの政権に国際社会は対峙して行ったら良いのでしょうか。

A 私の考えでは民主主義的な原則を守ればいいと思います。何かここで妙案があるように、騒いでいる人たちは詐欺者たちだと思います。俺が行って訪ねて直接談判すれば何か解決できると、何らかの条件を与えたら解決できると。それは金正日を知らない人です。金正日も知らないし、中国も知らない人たちがそういうことをしています。こういう人たちは怪しい人たちです。民主主義的な立場を離れています。金正日政権は完全に崩壊直前までいきました。それを活かして、それを蘇生させたのがアメリカと南朝鮮(韓国)です。日本もいっしょになって何かを与えて崩壊を促進させようと考えている。馬鹿げた話しですよ。そういうふうにしてはいけない。

つまり、北朝鮮人民の生活が安定するための援助、それは多ければ多いほどいのですが、金正日に無償で援助を与えてはいけないのです。金正日が核兵器を作らないと宣言したら、その独裁体制を維持しても良いというような考えを持ってはいけないのです。そのような政策を維持している国ではそのような人たちとの戦いが必要です。例えば日本で拉致問題だけ解決すれば金正日を助けてもいいと考えている人がいるとしたら、その人たちは民主主義者ではありません。それぞれの国の事情があって、そういうことを外交的に話すことがあるかもしれませんが、目先の問題解決のために金正日を助けようとする考えは、民主主義的な原則にもとる行為だと思います。

経済制裁は日本の意のままに

Q いま日本では北朝鮮に対する経済制裁の論議が高まっていますがこうした動きについてはいかがお考えですか。

A それは日本の意のままにしたほうがいいでしょう。しかし経済制裁で一定の効果は上がるかもしれないが、それによって北朝鮮の崩壊をもたらすことは出来ないと思います。

Q 経済制裁をすることによって、北朝鮮側が日本との拉致問題の交渉のテーブルに戻ってくる可能性はあるのでしょうか。

A それはわかりません。彼らがそれをどの程度痛く感じるかが予測できません。ただ経済制裁だけでは、自らの崩壊をもたらすような譲歩はしないと思います。

Q 、拉致被害者の横田めぐみさんを始め、死んだとか行方不明だとかいわれている人たちが今も北朝鮮で生きている可能性はありますか。

A 可能性はあるでしょう。しかし、どこまでもそれは推測です。証拠は何もありません。しかし、可能性はあります。

Q 拉致被害者を返せないのは、北朝鮮の重要な秘密がバレるからだという人がいますが?

A そういう可能性が多いと思います。

金正日を除去することが民主主義的立場

Q 民主主義的な立場で人民を救うとは具体的にどういうことですか

A 具体的な問題は、その問題を専門に研究した上で話したほうがいいと思いますが、最も重要なのは、金正日独裁集団を孤立除去することです。この集団は民族的な立場から見れば、最大の反逆者集団です。彼らは数百万の住民を餓死させ、北朝鮮を大きな監獄に変え、基本的人権のすべてを奪ったのです。この集団は、また世界のルールを守らず核とミサイルで世界の平和に脅威を与え、それを開発するために麻薬の密売をはじめあらゆる犯罪行為を平然と行っています。世界的見地から見れば国際的犯罪集団です。こうした金正日の独裁集団とその犠牲になっている人たち、自分の考えを持つことができないようになり奴隷化されている北朝鮮人民とは区別して見なければなりません。これが民主主義的な立場です。

だから、北朝鮮の犠牲者たちを救う問題に対しては積極的に、つまり人権を擁護し、脱北者たちを助け、北朝鮮の住民の困窮した生活を和らげるような援助には積極的に立ち上がる、それが民主的な立場だと思います。そして彼らを民主的に覚醒させることも重要な内容となります。

ところが、独裁集団と国交を正常化する。なにが正常化ですか。それは独裁集団を助けることです。核兵器を作らないと約束すればその体制を維持する、それは民主的な立場ではありません。すべての問題は金正日に原因があります。金正日政権が崩れれば核兵器問題も拉致問題もすべてが完全に解決されます。なぜそこに集中しないのですか。

また一部の人は金正日が戦争を起こしたらどうするか、そういった心配をしています。しかし、金正日に戦争を起こさないで下さいと祈ってそれで問題が解決されますか。戦争を起こすか起こさないかは力の問題です。力でこれを抑えなければなりません。米国はそれが可能です。

一方、先ほども申し上げた通り、中国を批判しなければなりません。なぜこういう悪い集団と同盟を継続しているのか、そう彼らを批判して彼らが良い方向でわれわれに協力するようにすることが大切です。だからここで絶対に必要なのは米国との協力であり同盟の強化です。米国が北朝鮮に対して、戦争を起こさないようけん制することが必要なのです。

もう一度言います。直接金正日と談判して何かを得ようとするのは完全に間違った考えです。

中国を取り込むには二者択一を迫れ

Q中国をこちらの陣営にうまく取り込むアイデアはありますか。

Aあります。中国の根本利益は平和です。経済の高度成長を維持したいのです。それが生命線です。だから、彼らは金正日自体を好んではいません。それは、悪い奴だということは良く知っています。しかし、彼ら(北朝鮮)と同盟関係を絶ってしまえば(北朝鮮が)滅びると。滅びれば米国の勢力が鴨緑江まで来る。それよりは、むしろ彼(金正日)を生かしておきながら、自分たちができない役割を分担させたほうがいいと考えています。北朝鮮の核兵器で絶えず隣の国々を脅し、例えば韓国で親北反米思想を高め、日本でも親中国的で反米的な思想を高めれば自分たちの力が今よりも何倍も強くなり、米国はこの地域から手を引いてしまう。そしたら朝鮮も日本もみな自分(中国)の側につくと。そのように展望しているのです。

だから、米国の勢力が鴨緑江まで来るという中国の懸念をなくしてやらなければなりません。そして今、中国が最も重要視している平和と資本主義諸国との協力について、もし北朝鮮との同盟関係を引き続き維持するならば中国を同伴者と見ることはできないと強硬な姿勢で対応すれば中国を北朝鮮から引き離すことができます。

しかし米国にはそれができないのです。反対派が、金正日をおそれているからです。金正日があたかも狂人のように考え、それでも核兵器を使ったらどうなるか、アルカイダの攻撃も恐ろしいのに金正日が核を使って米国を攻撃したらどうするのかと恐れているのです。私が北朝鮮にいるときも、米国に到達するミサイルがあるということは聞いていましたから。

反金正日勢力を援助強化せよ

Q六カ国協議の枠組みで考えることもさることながら、各国が民主主義的な立場で北朝鮮に臨むことこそ最も重要とのお考えをもう少し詳しくお聞かせください。

A以前にソ連の独裁集団との冷戦の状態では米国を中心とした民主的な連帯、国際主義的な民主主義同盟が相当強くなりました。資本主義列強が互いにしのぎを削って戦っている状態から協力するようになり、国内でも労働者と資本家の対立も和らげるようになり、そういうふうにしてソ連陣営を孤立させ、自由主義陣営を団結させる方向に向かっていきました。それが闘わずして勝利した原因です。

しかしソ連崩壊後には民主主義陣営が勝利に陶酔して敵を見失うようになり、敵がいない同盟、敵の見えない同盟のようになり、各々が自分の考えを持って独裁集団に対応しています。例えば南朝鮮(韓国)でいま親北反米思想が高くなっている、なぜかというと、これもやはりここの政治勢力が彼らと妥協して、つまり戦争を恐れている大衆の心理に迎合し、その支持を受けるため敵と妥協する方向に行ったからです。

今もし、ここで闘わずして金正日政権を崩壊させようとすれば、米国と日本がまずここ(韓国)の親北反米思想の人たちを牽制し、韓国の反金正日民主主義勢力を国際的に助けなければなりません。だが両国ともそれをしていないのです。米国も日本もしてないのです。ここ(韓国)で親北反米思想が高まることには反対していますが、その勢力を除去する民主主義勢力を助けていないのです。南朝鮮(韓国)が確固たる民主主義的体制を確立すれば、米国の政策に大いに役立つのですが、米国の対北政策に反対する勢力を放置しています。これは、確固とした民主主義的な立場ではないですよ。つまり、金正日独裁集団に対して、妥協することも民主主義的対応と言えませんがここ(韓国)の民主主義勢力を助けないのも民主主義的な立場ではなといえます。

韓国の親北は対南工作の成果

Q韓国の親北の動きは、北朝鮮が行ってきた対南工作の成果といえるのでしょうか。

Aそういえるでしょう。この、資本主義社会の最も大きな弱点は、経済的な発展に比べて人間の思想の発展と民主主義政治が立ち遅れているということです。彼らは侵略というときには武器による侵略だけを考えています。思想的な侵略、思想的な南進については警戒しません。共産主義者たちはそれを最も重要視しているにも関わらず、ここ(韓国)では思想的大義名分を重要視していないですよ。しかし思想逃走が第一に重要性なのです。それに比べれば武器、武力による圧力というのは二番目三番目のものです。まずこの思想的な立場で大義名分をつくり世界中の民主主義者たちを統一させることこそ最も重要な過大なのですが、その面が弱いから北朝鮮の思想的侵略に負けているのです。

 Q最後に一つお聞きします。日本の経済制裁論議のなかで、北朝鮮に制裁を加えれば北の人民を苦しめるだけじゃないかという意見を主張する人がいるのですが。

A私も知っています。それは、区別して考えない人です。経済制裁は北朝鮮の人民に援助をしないということとは別です。脱北者に対する援助も与え、彼らを通じ、住民の苦しみをやわらげる援助を与えるなど援助を与えながら金正日に打撃を与える経済制裁をすればよいのです。研究すればいくらでも方法はあります。

 
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