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今週のニュース

北朝鮮の核除去で新たな対応を見せはじめた米国

コリア国際研究所所長 朴斗鎮

2016.10.5

 北朝鮮の核ミサイル除去で米国の強硬策は間違いなくワンランク上がったと言える。それは、ブッシュ政権時代に代表的宥和論者であったクリストファー・ヒル米元国務次官補までもが北朝鮮への宥和政策に否定的見解を示したことからもうかがえる。
 9月29日、ヒル元国務次官補は、米オンラインメディア「プロジェクト・ シンジケート」に掲載された寄稿文「北朝鮮に融和策はいけない(No appeasement for North Korea)」で、「北朝鮮が強力な核兵器と運搬手段を模索している状況で対話すれば、北朝鮮を核保有国に認める結果を招くだけだ」と指摘した。また、「北朝鮮は韓米合同軍事演習中止といった要求が貫徹されなければ対話に応じないだろう」とし、「国際社会が北朝鮮に融和的な動きを見せることは、北朝鮮を一層大胆にさせるだけだ」と付け加えた。また、「今は国際社会が北朝鮮の要求をはっきりと拒否し、核保有国として認められるという北朝鮮政権の幻想を終わらせなければならない」と強調した(東亜日報2016・10・3)。
 駐韓米国大使も務めたヒル氏は、6カ国協議の米国側首席代表として金正日政権との非核化合意である2005年の「9・19合意」を導出し、「キム・ジョン・ヒル」(金正日+ヒル)というニックネームで呼ばれたほどの宥和論者だ。
 ヒル氏のような人までも現状況で北朝鮮との対話は無意味だと主張したことは、米国で北朝鮮に対する強硬論が広範囲に広がっているということを意味する。

1、強力な金融制裁

1)米国議会、北朝鮮を国際金融網から排除する法案着手

 米下院がオバマ政府の全方位的な北朝鮮制裁基調に歩調を合わせて、北朝鮮を国際金融網から排除し、これに違反する機関に制裁を加える超強硬法案の立法手続きに着手した。共和党の下院「外交委員会アジア及び太平洋小委員会」委員長のマット・サーモン議員は先月28日(現地時間)、「北朝鮮国際金融網遮断法案(H.R.6281)」を発議した。共和党と民主党の議員9人が共同発議者となった。
 同法案が議会を通過すれば、国際金融取引に欠かせない国際銀行間通信協会(SWIFT)が北朝鮮の朝鮮中央銀行や核開発に関与した北朝鮮の金融機関に金融サービスを一切提供できなくなる。
 これに反すれば、米大統領がSWIFTを制裁できる。国際基軸通貨であるドルで決済する道を閉ざし、北朝鮮の金の流れを完全に断つ考えだ。
 米国とEUは2012年3月、イランに対して金融制裁を行い、イラン中央銀行をはじめ30機関をSWIFTから強制的に脱退させたことがある(東亜日報2016・10・1)。

2)中国に対するセカンダリーボイコット強化

 対北朝鮮制裁の鍵を握る中国は、米韓日主導の強力な対北朝鮮制裁に協力することに二の足を踏んでいるようだ。米韓日が北朝鮮産の石炭など鉱物資源交易の「民生」例外規定を認めない強力な制裁案を推進しているが、中国はまだこれを受け入れるという意向を示していない。
 中国の建国記念日にあたる国慶節から始まる大型連休(今年は10月1~7日)を考慮に入れると、安保理での制裁議論が本格化するのは来月半ば以降になるという観測も出ている(聯合ニュース2016/09/29 )。
 こうした中で米国は中国企業に対する「セカンダリーボイコット」に踏み切った。
 米政府は26日午前(日本時間27日未明)、北朝鮮の銀行と取引がある中国企業1社(遼寧省丹東に拠点を置く「遼寧鴻祥実業集団」)と同社責任者馬暁紅会長ら4人の米国内にある資産を凍結し、同社との取引を禁じる独自制裁を発表した。北朝鮮の核開発をめぐり、米政府が中国企業を制裁の対象にしたのは初めて。米政府はまた、同社や関連企業が持つ25の銀行口座を差し押さえるよう中国当局に要請した。
 米財務省によると、同社は、米政府から大量破壊兵器の拡散に関与したとして2009年に制裁対象となった北朝鮮に拠点があるクワンソン(光鮮)銀行の「ダミー企業」として、貿易や金融取引をしていた疑いがあるという。米政府の通告を受けた中国当局が「重大な経済犯罪があった」として、同社の調査に着手したことが明らかになっている。

中国が朝鮮光鮮銀行の北朝鮮幹部を調査

 北朝鮮消息筋は、北朝鮮に核開発関連物資を輸出してきた「遼寧鴻祥実業集団」との関連で、北朝鮮の金融機関である朝鮮光鮮(クァンソン)銀行丹東代表部の幹部を含む北朝鮮の中国駐在員と貿易労働者が中国当局の調査を受けていると9月24日に明らかにした。また、丹東税関幹部をはじめとする中国の公務員らが大挙中国当局に連行されるなど、「遼寧鴻祥実業集団」事件捜査の波紋が中朝貿易全般に拡大している。
 馬暁紅会長(45)会長率いる「遼寧鴻祥実業集団」は貿易代金決済と送金などのために朝鮮光鮮銀行丹東代表部と密接に取り引きしており、この銀行との合弁投資で物流子会社の鴻祥実業物流有限公司まで設立した。
 「遼寧鴻祥実業集団」の業務に関与してきた馬会長の姉妹3人を含めた家族も当局の調査を受けた。食料や日用品など制裁と関係のない部門を担当した姉2人は解放されたが、鉱物運送など海運分野を担当した妹は当局が身柄を確保した状態で、継続して調査を受けている」と話した。
 このほか「遼寧鴻祥実業集団」と関連がない対北朝鮮取引業者に対しても中国当局が対北朝鮮制裁規定を厳格に順守するよう警告するなど、中国は第2の鴻祥予防のための取り締まりに乗り出した。ある消息筋は「鴨緑江沿岸の恵山(ヘサン)鉱山に大規模投資をした民営企業責任者を最近当局が呼んで警告した」と話した(中央日報日本語版2016年09月25日)

 米国はこのように中国に対するセカンダリーボイコットを強化することで中国を圧迫し、国連安全保障理事会決議に基づく制裁の「抜け道」と指摘されている中国企業による北朝鮮との取引を封じ込めようとしている。米政府当局者は、今後さらに他の中国企業への追加の独自制裁も検討していると語った。

3)北朝鮮の石炭輸出阻止

 ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は9月28日(現地時間)、連邦議会上院外交委員会アジア・太平洋小委員会の聴聞会で「北朝鮮は石炭輸出で年間10億ドル(現在のレートで約1010億円)の収入を得ているが、これは輸出額全体の3分の1に当たる。北朝鮮産の石炭・鉄鉱石の対中輸出に関する『穴』をふさぐため努力している」と発言した。
 国連安保理は、今年1月に北朝鮮が4回目の核実験を行った後、北朝鮮産の石炭・鉄鉱石の輸入を全面禁止する制裁決議2270号を採択したが、「民生用」については例外とした。ラッセル次官補の発言は、今後「民生用」も制裁して輸出そのものを封じ込めたいという意味だ。
 今年に入ってから8月までの時点で、石炭・鉄鉱石が北朝鮮の対中輸出に占める割合は45%になる。安保理制裁後の4月から7月までは減少したが、8月になると再び急増し、北朝鮮制裁の穴だと指摘されている。ラッセル次官補は「米国政府の最高レベルで(石炭輸入の全面禁止などを)中国と協議している」と語った。
 特に、ラッセル次官補は「北朝鮮に対する圧力が危機を悪化させる可能性があるという中国の懸念を認める」としつつも「だが、我々は北朝鮮の核とミサイル開発が地域の安全に非常に大きな脅威になっているという点を指摘する」とした。また、中国が北朝鮮の行動を変えるために有効な圧力を加えるよう、米国は繰り返し要請していると明らかにした。また、中国と制裁で密接に協力するが、「中国内の北朝鮮の(違法)活動を含め単独での制裁に躊躇(ちゅうちょ)しない」と強調した(朝鮮日報日本語版2016/09/30 )。

2、北朝鮮の外交的孤立化も促進

1)北朝鮮との外交・経済関係の断絶や格下げ要請

 米国政府は、世界各国に対して北朝鮮との外交・経済関係の断絶や格下げも要請し、外交封鎖にも乗り出した。
 ダニエル・ラッセル米国務省次官補(東アジア・太平洋担当)は9月28日(現地時間)、上院外交委員会アジア・太平洋小委員会聴聞会に出席して「全世界の米国公館に対して、駐在国政府が北朝鮮の5回目の核実験を糾弾し、外交的・経済的関係を格下げするよう要請すべしと公に指示した」「現在、75カ国が北朝鮮糾弾声明を発表し、数カ国は北朝鮮と行おうとていた会談や訪問を取り消した」と発言した。
 ラッセル次官補はこの聴聞会に先立ち、国務省ホームページに公開した「北朝鮮の持続的な威嚇と効果的な米国の対応の進展」というタイトルの書面証言で「北朝鮮の持続的な核および弾道ミサイル開発プログラムが米国と同盟国、地域の平和と安全、安定性を脅かしている」と批判して「これに対する米国の3大政策目標は阻止、圧迫、外交」と強調した(中央日報日本語版2016年09月29日)。
 国務省のダニエル・フリード調整官(制裁担当)も「米国や同盟国は、高麗航空の活動を縮小し、能力を制限しようとしている。第三世界諸国は既に就航を制限した」と語った。米国のこうした全方位的な北朝鮮圧迫について、韓国外交部(省に相当)の当局者は「外交関係の格下げ要請は、イラン圧迫時も用いなかった処置。オバマ政権が、『戦略的忍耐』という基調を維持しつつも、その流れの中で『戦略的行動』を開始したものとみられる」と語った(朝鮮日報日本語版2016/09/30 )。
 こうした中で尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は先週、国連総会に出席したのを機に対北朝鮮圧力に積極的に取り組むよう国際社会に訴えた。特に、9月22日の国連総会基調演説で韓国の外相として初めて北朝鮮の国連加盟資格を見直すべきとの認識を示した。

2)北朝鮮との関係を見直した国々

2014年2月19日
(現地時間)アフリカのボツワナが、北朝鮮国民に対する人権蹂躙が国家機関によって組織的に行われており、人権蹂躙の加害者を処罰すべきという内容の国連北朝鮮人権調査委員会(COI)報告書を引用し、即刻外交関係を断絶すると明らかにした。
2016年4月23日
今年北朝鮮との国交樹立から66年を迎えたベトナムも、4月に安保理から制裁対象として指定された北朝鮮の端川産業銀行ベトナム支店のキム・ジュンジョン支店長とチェ・ソンイル副支店長を事実上国外追放した。 
5月26日
エチオピアのハイレマリアム・デサレン首相は韓国の朴槿恵大統領との首脳会談で、北朝鮮の韓半島(朝鮮半島)に不安定をもたらす無責任な行動に対してエチオピアは韓国側でありいつも味方でいる」と強調した。
5月29日
ウガンダのムセベニ大統領が韓国の朴槿恵大統領との首脳会談で北朝鮮との軍事協力を中断する意向を示し、韓国との軍事協力強化に向け了解覚書(MOU)を締結した。
その後、情報、防衛事業庁の関係者が韓国を訪れていたが、9月28日にはウガンダの軍トップが韓国を訪問し、韓国軍制服組トップの李淳鎮(イ・スンジン)合同参謀本部議長と軍事協力策を議論した(29日)。
6月 8日
南アフリカ共和国は6月8日に国連に提出した安保理決議2270号の実行報告書同報告書の中で、北朝鮮との武器取引や軍事協力を取りやめたことを伝えた。
7月 8日
モンゴルが便宜置籍(実際の所有主の国籍を隠すために第3国の旗を付けて運航)方式でモンゴルの旗を付けて運航してきた北朝鮮船舶14隻の登録をすべて取り消した。
7月28日
マルタ政府が欧州連合(EU)加盟国で初めて、自国に滞在する北朝鮮労働者に対し事実上の追放措置を取った。マルタは1971年以降、北朝鮮と密接な関係を維持してきた。欧州では北朝鮮と最も近しい国に挙げられる。
7月30日
シンガポール当局がビザ免除対象国から北朝鮮を除外した。シンガポールは北朝鮮国籍者がビザなしで入国できる数少ない国の一つだった。
8月 8日
バングラデシュは一部国家で違法行為に関与した北朝鮮外交官を追放した。
8月19日
韓国のKBSテレビは19日、1992年に樹立した外交関係は継続するもののウズベキスタンの首都タシケントにある北朝鮮大使館が今月初めに閉鎖されたと報じた。北朝鮮にとっては98年にカザフスタンの大使館が閉鎖されて以降、中央アジアで唯一の大使館だった。
9月 9日
エジプト外務省は、北朝鮮が5回目の核実験を強行した当日に北朝鮮を批判する声明を発表し、深い懸念を示した。

 このほかアンゴラは7月25日に国連に提出した安保理決議2270号の実行報告書の中で、外交官を含む2人の北朝鮮関係者の個人情報を明らかにし、彼らの動向を監視していることを明らかにした。
 また国際原子力機関(IAEA)では9月30日、第60回総会を開催したが、168会員国が、北朝鮮の核兵器・核開発計画をすべて廃棄することを促す最も強い決議を満場一致で採択した。ケニア、ナイジェリア、カタールなどが新たな提案国に加わり、共同提案国は7カ国増えて70カ国となった。

3、斬首作戦の実行―北朝鮮への先制攻撃否定せず

 1)先制攻撃を否定しなくなった米国

 北朝鮮の核問題、ミサイル問題と関連して米ホワイトハウスのアーネスト報道官は9月22日、ついに「先制攻撃」に言及した。アーネスト報道官は北朝鮮に対する先制攻撃の可能性について尋ねるメディアの質問に、「ない」とは明言せず「作戦サインの一つである『先制軍事行動』については事前に論議をしない」と述べた。
 この言葉はつまり「先制攻撃を検討する場合、事前に論議や予告は行わない」という意味で、先制攻撃の可能性を明言したものではないにしても、ホワイトハウスの関係者がこのような言葉を口にしたとなれば、これは聞き流すことができない重みがある。「先制軍事行動」は戦争が起こる可能性が高いか、あるいは非常に緊迫した状況で相手に対して事前に致命的な打撃を与えることを意味する。またこのような言葉が出たということは、北朝鮮の核の脅威について米政府が「米国本土への現実的な脅威」と認識し始めたと考えることも可能だ。
 現在、米政府とその周辺では今後の北朝鮮への対応について、経済制裁とは異なった次元の新たな方向性を模索し始めたようだ。かつて米統合参謀本部議長を務めたマイケル・マレン氏は今月16日「先制的自衛権」という言葉を口にし、また9月19日にはカーター国防長官が「即時攻撃体制」という言葉を使ったが、このように先制攻撃をにじませる発言が今回ホワイトハウスからも飛び出したのは尋常ではない。北朝鮮が5回目の核実験に続き、米本土を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の動きを露骨に示したことで、米国も明らかにその態度が変わりつつある。
 自国の領土と国民の生命を守るため、自分たちへの脅威を除去する先制攻撃は国際法でも自衛権の一つとして認められている。1994年に北朝鮮が核開発を始めた時も、予防的次元で北朝鮮の寧辺に対するピンポイント攻撃が検討されたことがあるが、今回はそれとは次元が異なる。米政府とその周辺におけるここ最近の言動が実際に攻撃を予告するものなのか、あるいは北朝鮮に対する一種の警告なのか、それとも北朝鮮への新たな制裁をにらんだ交渉カードなのかは今のところ分からない。ただはっきりしていることは、韓半島(朝鮮半島)の安全保障環境が以前とは明らかに変わりつつあることだ(朝鮮日報社説2016/09/26 )。

2)先制攻撃発言の背景に米国外交協会(CFR)報告書

 ホワイトハウスのアーネスト報道官は22日の定例記者会見で、北朝鮮を先に空襲する計画があるのかという質問に対し、「一般的に、北朝鮮を特定せずに話す」という前提は付けたものの「先制的な軍事行動はあらかじめ話さない」と答えたが、この背景には米国外交協会(CFR)が9月16日(現地時間)に発表した対北朝鮮政策提言報告書が関係している。
 執筆に参加したマレン元統合参謀本部議長は9月16日、報告書を紹介するCFRの討論会で「北朝鮮が米国を攻撃する能力に非常に近接し、米国を威嚇する場合、自衛的レベルで北朝鮮を先制打撃することができると見る」と明らかにしている。
 101ページ分量のCFR報告書「より鮮明な対北朝鮮選択」(A.sharper choice on North Korea)」を見ると、前向きな交渉の必要性を提起しつつ同時に北朝鮮爆撃の内容にも言及している。
 報告書はまず「北朝鮮の核問題終息のための最後の機会は次期米大統領にある」とし、次期政権に「北朝鮮を最優先に扱うべき」と促した。北朝鮮の相次ぐ核実験と長距離ミサイル発射実験の成功でオバマ政権の戦略的忍耐政策は失敗し、北朝鮮の核問題は臨界点に到達したという切迫性を背景としている。
報告書は特に北核凍結を中間目標とする段階交渉論を公開提案した。「交渉の初期に北朝鮮の核能力と関連し『検証された凍結』に焦点を合わせるべき」と提示した。核実験、長距離ミサイル発射実験、プルトニウム再処理、ウラン濃縮、寧辺(ヨンビョン)原子炉稼働の5項目の中断措置と国際原子力機関(IAEA)の北核施設査察の再開が内容となっている。交渉の進展に基づいて韓米が対北朝鮮食糧支援を再開し、韓米連合軍事訓練の規模・内容も調整できると提言した。交渉の最終目的地は「北朝鮮の完全な非核化と人権増進の対価とする平和協定締結と関係正常化」だ。
報告書は同時に強力な制裁とともに北朝鮮政権崩壊を念頭に置いた軍事的圧力まで提示した。「北朝鮮が協議に出てこない場合、同盟国と追加の金融制裁をし、政権のすべての不法活動を目標にした制裁を準備しなければいけない」「北朝鮮政権の崩壊は米政府の政策ではないが、北朝鮮が対話を拒否して核を開発すれば政権存続に直結するさらに強力な軍事・政治的行動を検討しなければいけない」などだ。北朝鮮が人権を改善しない場合、国連加盟国資格を剥奪する案にも触れている。
報告書は北朝鮮の核問題解決のカギとして「中国が動くよう米国が環境を作るべき」という新しい接近法も出した。「中国を動かすには未来の在韓米軍駐留問題も扱う対話を提案しなければいけない」とし、北朝鮮を対米緩衝地帯と考える中国の不安感を減らすことを促した。また「中国は米国を地政学的な敵と見なす傾向があるが、韓国は中国と直接対話し、米国より広い政策手段を持っている」とし、韓国の役割論も重視した。
この報告書が注目される理由は執筆者17人の面々のためだ。ブッシュ前大統領が任命したマレン元議長、民主党のサム・ナン元上院軍事委員長、オバマ政権のエバン・メデイロス元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長など軍・議会・政府出身の超党派的な専門家が意見をまとめた。次期政権の対北朝鮮政策の参考書になるという見方もある(中央日報日本語版2016年09月24日)。

3)中国、米軍が北核施設のみ打撃なら黙認?

 中国が北朝鮮の核施設を狙った米国の軍事作戦を黙認する方針を決めたと、台湾メディアが報じた。台湾中国時報は9月18日、外交関係者と学者の言葉を引用し、「すでに中国政府は北朝鮮が崩壊しないという前提のもと『金正恩(キム・ジョンウン)除去』策略を完成し、該当計画には米国が北朝鮮の核兵器施設に対する『外科手術式』打撃と金正恩委員長を除去する『斬首作戦』を黙認するという内容も含まれている」と報じた。
 中国外交消息筋は「米国のオバマ政権は今年初めに北朝鮮核施設打撃計画を出したが、中国の反対で確定できなかった」とし「しかし北朝鮮が9日、豊渓里(プンゲリ)核実験場で5回目の核実験を敢行し、実戦配備を控えて中国の立場が変わった」と説明した。
 金燦栄・人民大国際関係学院副院長は「米国の『外科手術式』打撃に対し、中国高位層が全く準備をしていないわけではない」と明らかにした。金副院長は「習近平主席の就任後、朝中関係は『正常化』の道に入った」とし「外部の見方とは違い、兄が弟を管理できない状態」と吐露した。
 時殷弘・人民大国際関係学院教授も「中国高位層が米軍の行動について考慮するのは軍事的打撃の水準」と説明した。時教授は「米国が単に北朝鮮の核兵器施設だけを打撃し、金正恩政権に影響を及ぼさなければ、中国は非公式的に賛成するだろうが、もし米国が金正恩政権に打撃を与えて自身の勢力を植え付けようとすれば、韓半島(朝鮮半島)全体が米国の統制下に入るということで中国は同意できないだろう」と主張した。
 時教授は「核心は軍事行動に正確な分別があるべき」とし「中米両国の共同コンセンサスがなければいけない」と強調した。時教授が明らかにしたコンセンサスは▼攻撃は1回だけでなく北朝鮮の核施設の徹底的破壊につながらなければいけない▼米国は北朝鮮を占領したり「短期統治」を図ってはいけない▼米国と韓国がTHAAD体系配備決定を撤回しなければいけない--と説明した(中央日報日本語版2016年09月20日)。

4)韓米海軍が合同訓練 北朝鮮内地上目標の攻撃想定

 韓国と米国の海軍は9月26日、東海(日本海)で敵の地上目標物を想定し攻撃を加える訓練を実施した。
 訓練には韓国軍のイージス駆逐艦「栗谷李珥」(7600トン)など水上艦3隻と潜水艦(1200トン)、対潜ヘリコプター「リンクス」、P3海上哨戒機それぞれ1機のほか、米軍のイージス駆逐艦「スプルーアンス」(9500トン)、海上哨戒機が参加した。
 韓国海軍は今回の訓練について、「北の挑発に対応するもので、継続する北の侵略行為に統合的に対処するという強力なメッセージを送るために実施された」と説明した。
 両軍は戦術機動や射撃訓練をはじめ、さまざまな環境で乗組員が敵の潜水艦を識別し、追跡する対潜水艦訓練を行った。韓米連合機動部隊が有事の際、艦対地ミサイルなどで敵の地上標的を攻撃する訓練も行われた。
 韓国海軍は「両国の海軍が定期的に実施している訓練とは別に行われた初の海上作戦」として、「韓米の海軍連合戦力は今回の作戦で敵から韓国と朝鮮半島を防衛できる能力を見せた」と評価した。
 李基植(イ・ギシク)海軍作戦司令官は「韓米海軍が緊密に協議し、韓米同盟がしっかりと履行されていることを見せる具体的な例」と説明。「攻勢的な作戦であり、朝鮮半島と地域の安全と均衡のため、敵の侵略行為を阻止し、無力化することを常に準備していることを証明する訓練」と述べた。
 在韓米海軍のクーパー司令官は「われわれは北朝鮮の不法な侵略行為に対抗し、(韓米両国を)防衛するために韓国と(行動を)共にする」と強調した(聯合ニュース2016/09/26 )。

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 現在米国が進めている「北朝鮮核放棄政策」と米国外交協会(CFR)報告書で示された提案は、当研究所の提案と一致する部分が多い。
 ただ、強力な制裁をかけても、金正恩が、段階的であれ、「非核化を前提とした協議」に応じてこない時にはどうするのかという問題が深刻だ。その時には軍事オプションに移るしかない。ピンポイント攻撃で金正恩首脳部を除去する「斬首作戦」が浮上することになる。朴槿恵大統領は金泳三元大統領とは違いこの作戦に同意する可能性が高い。
 しかしこの場合、必ず中国の同意が必要となる。米国が中国に対してどの程度のアドバンテージを与えるかを精密かつ具体的に計画され根回しされなければならない。
 要は金正恩と核ミサイルを除去する以外は北朝鮮の体制を中国に任せる(改革開放へと向かう親中政権樹立)ところまでアドバンテージを与えられるかどうかである。
 中国を引き入れ、米韓が全面戦争の覚悟をもって「斬首作戦」実行の確固たる覚悟を示せば、作戦を実行せずとも金正恩は屈服するはずだ。そこで「金正恩が暴発して核戦争が起こればどうする」など戦争への恐怖心を抱けば金正恩の罠にはまることになるだろう。
 全面戦争の覚悟をもって「斬首作戦」実行の本気度を示せれば全面戦争は起こらない。そればかりか軍事行動も必要なくなり平和的解決の可能性が高まる。それがこれまでの北朝鮮との対決で米韓が勝利した時の教訓だ。
 金正恩は強がりを言っているが、昨年8月の地雷爆破事件では韓国軍が本気度を示しただけで遺憾を表明し折れてきている。

以上

 
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