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コラム紹介
米ネオコンよ "これからは、北 核兵器に拍手するのか"

"CVID 主張はどこに行ったのか?"

デイリーNK「エバスタットコラム」より
2007.2.1

 この文は1月 18日付けタイムズ紙アジア版に載せられたニコラス・エバスタット(米企業研究所研究員)が北朝鮮核問題を巡る最近のワシントンの流れを分析したものだ。ちなみに北朝鮮専門家であるエバスタット氏はネオコンに属する。
題目 How Dubya Stopped Worrying、and Learned to Love the (North Korean) Bomb(連中はもう北朝鮮核を心配しなくても良く、核兵器に拍手するようになった)とするこのシニカルな文章は、北朝鮮核問題をめぐるワシントンの現在の姿を映している。参考意見として読んでいただきたい。
 韓国語への翻訳は在米北朝鮮人権活動家・南・シヌ博士。韓国語翻訳は当研究所。

 今世界の核拡散を阻む上で、心配で最も危険な所はどこなのか?
 ざっと見渡せば、それは北朝鮮核武装解体の名目のもとに、交渉なのか何なのかよく分からないが、退屈になれば集まるいわゆる '6者会談'と言うものが開かれる北京の外交テーブルと見られる。この交渉に参加する国家代表が集まる度に、いや集まると騷ぐ度に、平壌政権は完全で牽制のない核開発に一歩一歩近づくようだ。
 振り返ってみよう。
 2003年夏、'6者会談'を始めると騒いだ時、あの時までも平壌政権が核を持ったかも知れないと言っていた状況であり、平壌政権も右手に '戦争抑止力'の何かを持っているぞとして鬼ごっこをしていた時であった。
 その間 6者会談を 4回も行った。確かに進展はあった。交渉に進展があったという話ではなく、北朝鮮の核兵器開発プログラムに進展があったという話だ。 '非核化交渉'がのらりくらりと行われている間、金正日は緻密でこまめに国際社会が北朝鮮の核武装を受け入れるよう手なずけて来た。
 まず金正日は '戦争抑止力'と言う用語を用いたが、それは自分が作って倉庫に積んでおいた '核兵器'の隠語だった。その後、彼は間(ま)を適当に取って核兵器を保有していると宣言し、この核兵器は “いかなる場合にも自国防衛のために” あきらめることができないと宣言した。
 そうした中、去年の秋、昨年末開かれた 6者会談の前に、北朝鮮は初核実験(多くの報告書によると半キロトン位の殺傷力を持つ部分的成功だと言うが) を試みた。事態がここに至れば、'北朝鮮非核化交渉'を主導するいわゆる外交の達人と言われる人たちも、金正日の常套手段を見破れるはずだが事実はそうなっていない。
 このエセ非核化交渉が4年目入った今日、平壌政権は第2次核実験を準備中だと脅しをかけているにも関わらず'6者会談'の別の五カ国は平壌政権にまた会談に復帰して下さいと哀願している。この中で一番驚くべき事は、金正日自らが核武装を解体して下さいと哀願する五カ国の中に私たちワシントン政府も含まれているという事実だ。
 信じがたいがこれは事実だ。すぐこの間までも図体がデカく険しく見え悪名(?)高かったブッシュ政権のネオコンたちが今はこの有様だ。あきれてものが言えない。これまで 6者会談で (哀願しないで) 北朝鮮に核拡散防止に同調しなければ大変だぞと圧迫して来た唯一の鞭、米国がこんなに変わったのだ。
 去る一年間、ブッシュ政権の対北朝鮮政策の垂直下降は全くひどいものだ。彼らが初めて愛用し主張した CVID(完全かつ検証可能、不可逆的な核の廃棄)と言う言葉はどこかに消えてしまった。米国外交官たちは、いまや北朝鮮のHEU(高濃縮ウラン) プログラムについては口にもしなくなった。北朝鮮が国際協約を違反して密かに開発し、米国務省の役人たちが2002年末に北朝鮮を問い詰め、現核危機をもたらしたあの高濃縮ウランのことだが。
 過去も現在も HEUを開発したことがなく、絶対にないと北朝鮮の役人が主張する問題を交渉で取り上げさせるのは非外交的で失礼ではないか!といわんばかりだ。昨年末の 6者会談では米国が北朝鮮に核交渉を "早く終決させよう”とねだる情けない状況に至った。
 風呂敷包みが十分ではないとする論議はさておいても(こんな言葉を自国民を食べさせることもできない金正日が聞けば外交的恥になるかもしれないが) 米国の提案は見るも情けなく乏しいものだった。
 '早く終決させようとすると' 米国は北朝鮮に経済支援(食糧、油)を約束しなければならないし、別の「にんじん」も差し出さなければならない(一説によれば北朝鮮を外交的に認めようということまで論じられているようだ)。北朝鮮が一時プルトニウム施設を凍結させて核視察団を再び受け入れれば、こうした「にんじん」を渡すつもりだ。
 以上の推移を見れば、ブッシュ政権は平壌政権が以前の核協定を公然と破ったにもかかわらず、罰を一つも与えないで「にんじん」だけをもっと与えようとしているように見える。そして 2002年以後に生産した核兵器もまずは目をつぶり、綿あめまでつけて「にんじん」を与えようとしている。
 このような前奏曲を奏でるブッシュチームは、自分たちが卑怯で原則不在と嘲笑したクリントンの政策に再び戻ろうとしているのだ。北朝鮮側は相手が擦り寄ってくるのを鬼神のように察知する。それで彼らは 'ドビア'(ブッシュの残党)をより利用しようと決心した。6者会談を '早く終決させようとすれば' 核武装解除の前にいくつかの条件があるというのだ。
 すなわち米偽ドル札に関係して平壌政権の資金を凍結させていたバンコ・デルタ・アジア銀行口座の 2400万ドルを解除しなければならないという条件だ。2005年末米財務部が調査して圧力を加え、がんじがらめに縛ったマカオ銀行のお金をなぜ平壌政権は死に物狂いで取り戻そうとするのか、多くの推測が飛び交っている。
 朝鮮民主主義人民共和国は、事実上多くの面で国家的次元の犯罪集団(北朝鮮政権は麻薬の密売のほか偽造米ドル、偽マルボーロタバコ、偽バイアグラを密造する)であるため、稼いだ資金を奪われるということは、マフィアやくざたちのように彼らの自尊心が許さないと言う説もある。
 また、BDA 銀行凍結が、2002年の国際社会との核対決以後北朝鮮が受けた唯一の制裁措置であるため(昨年秋UNが決意した制裁措置はゾウの足に注射針を刺したようなもの)、これを解除させれば再び核ゲームを始めても、米国は経済的措置を取れないだろうとの企みだという説もある。彼らの腹の中を誰が読めるだろう?
 問題は北朝鮮が横車を押してきたら米国交渉チームが押し込まれると言う事実だ。
 今米国の首都ワシントンではまた一つのあきれた網引きが起っている。米国務省の高位役人たちが米財務省の役人に、世界テロリスト分子たちとの経済戦争で締めた紐をちょっとだけ緩めればよい、すなわち敵性国家の偽札と資金洗浄陰謀を追跡して来た米財務省に、国務省が '悪の軸' 国家一つを 6者会談に復帰させるには締めた紐を少し緩めなければならないと提案していることだ。それしきのお金何千万ドルがどうだと言うのだ!と。
 ワシントン政界ではこのような国務省−財務部の網引きがもっぱらの評判だが、誰が勝つかはまだ明らかではない。
 平壌が BDA から資金を取り戻せば、彼らのこれまでのパターンから分かるように、金正日は感謝するどころか、場所と時期を選んで核兵器をもう一発ぶっ放すだろう。金正日の見方では、核実験を再度行っても会談雰囲気に障害とはならず、全くその反対であると思っているはずだ。次回で見せかけではない本物の核実験を行えば、欧米諸国はまた交渉しようと取り入るはずで、それに対する「にんじん」の対価ももっと多くなり甘さも一層増すはずだと考えている。
 親愛する将軍様と彼の追従勢力は 6者会談という '非核化詐欺劇'が今後自分たちの核開発にいかに大きな貢献をするかについて十分に承知している。
 交渉に参加する国々がよく分かってないこと、また恐れることとは何か?
 ブッシュ大統領がますます弱くなるからかも知れないが、それは北朝鮮の核を解決する唯一の '方法'は、平壌にもう少し人間らしい独裁者を立てなければならないという厳然たる事実である。

 
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