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2006.6.10

迷走する民団、「6・15共同行事」参加断念

大韓民国民団(民団)は、在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との「共同声明」発表後、一ヶ月も経たないうちに、6月7日、共同声明で謳った「6・15共同行事」への参加取りやめの発表を行った。この共同行事への参加が、当面の目玉であり、盧武鉉大統領への「忠誠」の証であっただけに「改革民団」の中央執行部は「無念」であっただろう。この取りやめの経緯については統一日報が6月7日付で次のように報じた。
 「6月1日、招集された中央執行委員会は、東京・港区の韓国中央会館で行われた。4時間半にわたった会議は、ほぼ「5・17声明」をめぐる問題に費やされた。 
 不参加を決めた「6・15祝典」であるが、これは、民団から敵性団体と規定されている韓統連(在日韓国民主統一連合)が「6・15民族統一大祝典日本地域委員会」を名乗り、同祝典の主催団体の一つとなっている。河丙ト氏らは、この韓統連に同「祝典」への参加を申し入れていた。
 そうした事実が知れるに及んで、民団のコンセンサスは崩れた。というより端からコンセンサスがなかったということに中執の反発があったと言っていいだろう。「この状況でもし参加すれば(民団は)終わりだ」という出席委員の声は民団の危機感を反映している。
 民団中央は2日、各地方本部に業務連絡を出し、「この間、6・15共同宣言実践日本地域委員会と協議を重ねてきましたが、諸般の事情を考慮し、今年は参加しないこととします」と正式通知した。
 総連との共同声明は、「祝典」への双方の代表団メンバーの参加時期は明示していないが、「南北共同宣言6周年」にあわせて合意がなされたため、6月参加は前提事項だったと説明されていた。中執の不参加決定は共同声明に打撃を与えるのは必至だ。
 出席者によると、25人から成る中央執行委員会では全員が発言した。
 「今回、同胞社会がどれほど大きなマイナスをこうむったかがわかっているのか」「プラス面を考慮したにしても、どれほど悪影響が及んでいるかわからない」
 この日の中執では、京都本部と山口本部を除いて各地方本部団長と傘下団体長全員が臨時中央委員会、あるいは中央大会の開催を要求した。手続き無視の総連とのトップ会談、共同声明発表に対し責任の所在を明確にせよという追及もなされた。
 河団長は「今後顧問会議などで協議する。時間もたったので会議を終わりにしたい」と席を立とうとしたが、委員から「臨時中央委員会を開けという、これだけの意見が出ている。結論を出さないのか」と厳しい批判の声が飛んだ。
 民団中央は事後措置として顧問会議や全国団長会議を早期に開き、善後策を探るとしている。全国団長会議は12日、開催される。
 地方本部では長野、千葉が反対声明、新潟が不賛同意見書、神奈川が批判の意見書、東京、埼玉が意見書、大阪が賛成の見解書を出しているほか、民団関東地方協議会、東北地協、中北地協、九州地協の各地域で批判が噴出した。長野、千葉、神奈川、大分、佐賀の各県本部、東北地協は臨時中央委員会の招集要求を決議している」

 民団中央は、こうした経緯には一切触れず6月7日、つぎのような【朝鮮総連への提議書】を発表した。

在日本朝鮮人総連合会 議長 徐萬述貴下

 私は去る5月17日我々民団三機関長、幹部たちと共に、貴朝鮮総連中央本部を訪問し、貴組織幹部たちと会談し、在日同胞の和解、和合と大同団結、祖国の平和統一運動参与、在日同胞懸案問題に関する相互協力を内容とする共同声明を発表して、多くの在日同胞の賛同を得ました。
しかし、共同声明第2項目に明示された「6・15共同行事」に関して時間的に余裕がなく、諸般の事情により行事に参与することを断念するほかありませんでした。この点を広く了解してくださるよう望みます。
また、内外の歪曲報道により民団事業に対する誤解が広がったことに対しても正しい理解をお願いいたします。地方参政権獲得運動、脱北者支援、母国訪問団事業、拉致問題に対する支援活動などは中央委員会、執行委員会の決定事項であり、継続事業である点を明確にしておくところです。
5・17共同声明は在日同胞の長い対立の歴史に終止符を打ち、在日和合社会実現のための歴史的一歩を踏み出したことに大きな意義があり、これから我々民団は5・17共同声明において明らかにした在日和合の基本精神に従い、貴組織と在日同胞の共通諸懸案を解決するために可能な分野から一つずつ確実に協力していこうとしています。
さらに、我々在日同胞は日本において、多文化共生社会を目標としており、民団は貴組織と日本との架け橋の役割を遂行しようと考えます。

 貴下の健勝を心より祈願いたします。

2006年6月5日
在日本大韓民国民団中央本部
団長 河丙ト

この民団の【朝鮮総連への提議書】で最も奇妙なのは「貴組織と日本との架け橋の役割を遂行しようと考えます」という最後の文章だ。
朝鮮総連と日本との関係は1955年の結成以来今日まで続いており、弱体化した今日においても朝鮮総連20回大会、朝鮮総連結成50周年記念大会に日本の小泉総理自らがメッセージを送っている。
今回のこの表現は、北朝鮮の日本人拉致問題や核問題などで朝鮮総連が厳しい立場に立たされているとの認識から出たものであろうが、朝鮮総連の幹部は「余計なお世話」と考えているだろう。
朝鮮総連は一貫して「民団」を格下に見ており、単に統一戦線の対象としか見ていない。今回の「和解」についても一部高位幹部は「弱体化した民団に助け舟を出したようなものだが、利用価値の方が多いから仕方がない」と語っている。
その証拠に朝鮮総連は、「共同声明」発表直後の5月22日に「顧問団」の老幹部を一同に集め「われわれの「団合(朝鮮語でタナップ)事業がついに勝利した」と祝杯をあげた。また、5月30日の県本部委員長会議」では、来年の21回大会の目玉にすることも決定した。
そして民団が韓国で開かれる「6・15民族統一大祝典」への参加断念を決めたことに対しても2日午前、「共同声明は反目と対立を和解と和合に転換させる決意を表明したもの。必ずしも今年の祝典参加を拘束するものではない」とする談話を発表し、民団を「手中」に収めたとの確信からか珍しいほどの「余裕」を示した。
朝鮮総連から見た奇妙さだけではない。日本国民から見ても奇妙に写る。朝鮮総連が金正日の組織であり在日同胞の真の組織ではないことはすでに日本国民の常識となりつつある。にもかかわらず、民団がことさらにその架け橋となると「言明」することは、民団が金正日と日本の「架け橋」になるということと「同義語」に聞こえる。すなわち金正日の「対日工作の一翼を担う」ということを自らが「宣言」したことと同じだ。
こう主張すると得意の「歪曲」主張をまた持ち出すかもしれないが、文章なり発言は誤解されないようにすることが肝要だ。すべての人に「自分の独り善がり」や「思い込み」が通じると思ったら大間違いだ。「思い込み」の中にこそ「本音」が隠されていることを大衆は熟知している。

 
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